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【リモート座談会】新規事業のための知的財産と資金調達~初心者にもサクッとわかる成功のツボ~

2020.10.17

2020年10月28日(水)にタイトルの座談会を開催します(無料)。

対象:創業予定者、中小企業、ベンチャー企業、その他興味のある人

https://www.jpaa-kanto.jp/chizai_seminars/jpaa-kanto2020/chusyov_1028.html

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SDGsと商標

2020.09.28

 今では多くの企業に知れわたっているSDGsという言葉。

 SDGsを意識した製品開発やSDGsそのものをビジネスのネタとする動きも盛んになってきました。
 私の身近な企業の製品開発やサービス展開にもそうした動きが見られます。

<SDGsとは>
2015年9⽉25日、ニューヨークの国連本部で開催された国連サミットの中で決められた国際社会共通の目標(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))の略称。

 そのような中でこの「SDGs」を含む文字等についての商標登録出願がかなりあるようです。はたして登録されるのでしょうか? 

 調べてみたところ、本記事作成時点でヒットしたのが123件、いずれも国連サミット後に出願され、そのうち17件が登録されています。以下ご参考(指定商品、指定役務等省略)。

<登録商標の例>
 「SDGs総研」
 「SDGs絵日記 」
 「SDGsJC電力 」
 「SDGs経営士」など

 一方、現在審査中の商標に対しては次々に拒絶理由通知書が出されています。

<審査中(本記事作成時)の商標の例>
 「SDGs電力」
 「SDGs見つけ隊、育て隊、広め隊 」
 「SDGsビジネスマイスター総合検定」
 「SDGsコミュニケーター」など

 そして、審査中の出願の多くに共通している拒絶理由が、商標法第4条第1項第6号(国、地方公共団体等の著名な標章)違反です。
 商標法第4条第1項第6号は、国、地方公共団体等の著名な標章を一私人に独占させるのは好ましくないという趣旨の規定です。

 現在、SDGsは国連で採択された目標の略称として取引者等の間で広く知られています。

 拒絶理由通知はこうした状況を反映しているのでしょう。

 ただ、ここで疑問があります。

 なぜ先の17件は登録されたのか?

 上記、登録商標と審査中の商標そのものに登録の可否を分けるような目立った違いは見当たりません。

 考えられる違いとしては査定のタイミングが挙げられます。

 審査における登録可否の判断基準時は原則、査定時です。

 そうすると、早期に出願された商標については査定時にはSDGsがまだ著名でないから商標法第4条第1項6号には該当せず登録、遅れて出願された商標については既にSDGsが著名になっているから拒絶、ということかもしれません。

 SDGsという言葉が世間に出てきたのは(おそらく)国連採択の2015年9月です。2017年にはシンポジウムやセミナーが開催されはじめています。個人的には、2018年には多くの企業がSDGsに関心を持ち、実践し始めたと感じます。

 一方、SDGsを用いた商標登録出願の中には2019年2020年に登録されたものもあります。

 はたしてどのタイミングでSDGsが国、地方公共団体等の著名な標章になったと判断されたのでしょうか?

 ただ、審査結果を全体的に見ていると、どのタイミングだったとしても納得感が薄いです。反論等の行方を見守るしかないですかね。

 まあ、現在ではSDGsは国連で採択された目標の略称だと多くの取引者が想起するレベルだと言えるのではないでしょうか。そのような中でこれを用いた名称を独占しようとすることは上記規定の趣旨に反する(拒絶理由に該当するのは仕方がない)とも解釈できます。

 長期的には、あふれかえったSDGsの文字ににこだわるよりも、独自ネーミングにこだわった方がブランディングにつながると考えることもできます。

 どうしてもSDGsを商標的に使いたければ、SDGs以外の文字等で商標権を取得してSDGsをその商標の枕詞的に使う(これならSDGsブームが終わり、次のブームがやってきても、同じ手で登録商標を活用可能!)とか、いろいろ手はありそう。「SDGs」の文字そのものは使用禁止なわけではないですからね。

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【ユーチューブと知財(6)】商標登録と身元バレの問題

2020.02.01

 以前、触れましたが、最近はユーチューバーで商標登録する人が増えているようです。

 ここで、著名人が商標登録する際に気を付けるべき点として身バレがあります。

 かつて、ふなっしーの中の人の情報が判明するという事件(?)が起こっています。

ふなっしー「中の人」ついに判明? 商標登録情報に「出願人」の氏名が
 https://www.j-cast.com/2013/11/22189795.html
 J-CASTニュース2013/11/22記事

 商標登録出願すると1~2か月で出願情報が特許情報プラットフォームというサイトで公開されます。

 個人で出願した場合、出願人名住所という個人情報がばっちり公開されます。

 対策としては、

 ・個人名以外で出願する(例えば、合同会社などを設立し会社名で出願、など)

 ・自宅住所以外の住所で出願する(例えば、レンタルオフィスを借りてその住所を使う、など)

といったことが考えられます。
 ふなっしーの例では事後的に上記のような対策をとったのが見てとれます。

 また、ユーチューバー事務所のような組織を頼ることができる場合は自分の代わりに出願してもらうということも手かと思います(ただし、その場合は商標権の管理を任せる相手とどのような契約を結ぶか、などいろいろ考えるべきことがありますが)。

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【ユーチューブと知財(5)】商標権取得のメリット等

2020.01.08

 ある程度知名度が出てくると、それにあやかって利益を得ようとする輩が出てくるものです。これはビジネスでヒット商品には模倣品がつきものなのと似ています。

  

 ユーチューブの場合だと、なりすましチャンネルなど、ユーチューバーの名前やサイト名をかたったものが考えられます。

  

 そのようなとき、他人に使われたくない名称やロゴについて商標権という武器を持っていれば、差止請求、損害賠償請求、刑事罰など法的対抗手段をとることができます。

 

 また、ユーチューブ運営も商標に関して、ルール的なものを明記しています(下リンク先参照)。

 https://support.google.com/youtube/answer/6154218?hl=ja
 (ユーチューブヘルプ:YouTubeのポリシー>法律に関するポリシー>商標)

 具体的には、「誤解を招くような方法で他人の商標を使用したコンテンツを YouTube にアップロードすると、動画がブロックされ、チャンネルが停止されることがあります」と商標権を侵害する動画を禁止しています。

 ただし、運営は商標権に関する当事者間の争議には口出ししません。つまり、仲裁することはないようです。

 以上から商標権を持っていると、

 ・警告、差止、損害賠償などの法的措置を取り得る(ただし、ユーチューブ運営は関わらない)

 ・動画削除、チャンネル停止措置(ユーチューブ運営がやってくれること)

と整理することができそうです。

 

 

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クラウドファンディング:知財費用調達と疑問

2019.12.18

 1か月ちょっと前、クラウドファンディングと知財をテーマに座談会を開催しました。
 https://www.jpaa-kanto.jp/chizai_seminars/jpaa-kanto2019/seminar/tokyo/2019-10-29/index.html

   
 写真は当日の風景 MC:私

 事前打ち合わせの範囲外で、不意に頭に浮かんで出した話題があります。

 それは、
 クラウドファンディングで集めるお金は将来使うものに限られるのか?
 それとも、
 既に使ってしまった費用を埋める目的のものでも良いのか?
 ということです。

 多くのプロジェクトは将来必要となる資金を集めることを目的としています。

 そのような中で、商標権取得や特許権取得のための費用を調達資金の使途に含めているプロジェクトもそれなりに存在します。

 ただ、商標とする名称を特許としたい技術概要を公開し、2~3カ月の調達期間を待って出願、では遅すぎます。それを見た第三者が先に出願する恐れもあります。

 であれば、プラットフォーム上で公開する前にせめて出願だけでも済ませておきたいところです。

 その場合に、既に使ってしまったお金をクラウドファンディングで集めたい、というのはクラウドファンディングプラットフォームを運営する事業者的にOKなのか?NGなのか?が謎です。

 回答はOK(既に使ったお金を集めるものであっても良い)でした。

 ですので、多少のお金はかかったとしても、少なくとも出願だけは先にしておいた方が良いと言えます。そのための費用捻出も難しいというのであれば、後は費用の支払いについて弁理士と交渉ですかね(事情を話せば柔軟な対応をする弁理士は割といるんじゃないでしょうか?)。

 一方、クラウドファンディングは資金を提供したいと思わせること、すなわち共感が得られるかが重要な要素です。

 露骨に知的財産権取得のための費用のみを資金調達の目的とした場合、はたして共感する人がどれだけいるのか?これをうまく乗り越えていかねばなりません。見せ方の問題でしょうけど。

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【ユーチューブと知財(4)】商標権の取得費用等

2019.11.10

 コピー動画などの偽チャンネルが出現したという話はよく聞きます。
 オリジナルの製作者にとっては大きな問題だと思います。

  こうした問題に対して、ユーチューブヘルプのなりすましに関するポリシーには

「他人や他のチャンネルになりすますことを目的としたコンテンツは、YouTube で許可されていません」

とあります。
 不適切な動画が報告され、ガイドラインに違反していると認められると動画が削除されます。

 この他に、「YouTube では商標所有者の権利の保護も行っています」という一文があります。
 そこで、商標権所有者様向けヘルプに飛ぶと

「Google は商標権侵害を深刻な問題と考えており、商標権所有者様への配慮として、商標権所有者様または正式な代理人の方から商標権侵害の有効な申し立てを受けた場合は調査を行う体制を設けております」

という記載があります。

 すなわち、適切に商標権を取得しておけば、模倣者に対する有用ななりすまし対策になる可能性があります。

 著作権と商標権の簡単な違いを整理しました(下表)。

  著作権 商標権
発生条件 動画など著作物を自ら作成
(手続無で自動的に発生:費用ゼロ
特許庁の審査を通過
(申請が必要で取得費用がかかる)
権利侵害の主張 自動発生する権利ゆえの困難性がある
(自分が作った著作物であることをどうやって証明するかという問題がある)
容易
(特許庁のお墨付き)

 それぞれ一長一短があります。

 ただ、自己の権利を主張するための確固たる根拠になり得る点において商標権は有用だと考えられます。

 また、著作権は自動発生するものなので、商標権を持っている場合は相手方に著作権と商標権の二刀流で対抗できることになります。

 ただし、商標権を取得するには自分が使用する商品やサービスを具体的に指定し、その指定した商品やサービスが属する区分(特許庁が便宜的に決めた商品・サービスの枠組み)を単位として申請する必要があります(自分にあった取り方をする必要があります)。これを間違うと意味のない権利になりかねません。ただ、ユーチューブにおける商標所有者の権利の保護というのが商標法と同じく、指定商品等と非類似の商品・サービスには及ばないのか、それとも指定する商品・サービスが何であるのか関係なく保護してくれるのかは不明です。

 なお、商標権取得のための費用は、特許庁に支払う法定費用と代理人費用の2つがあります(これらの合計が商標登録に必要な費用)。
<法定費用>
 出願時:3,400円+(区分数×8,600円)
 登録時:区分数×28,200円
<代理人費用>
 依頼する代理人によります。
 同業者の話を聞くと1区分だと5万円前後の価格設定をしている事務所が多いよう。これに加えて権利化した後に成功報酬を取る事務所も有。

 類似する登録商標が存在しないなど拒絶理由が見つからなければ登録査定となります。
 権利の存続期間は10年で、更新可能です。

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【ユーチューブと知財(3)】著作権侵害が発覚したら・・・

2019.11.04

仮に、動画が誰かの著作権を侵害している場合、どのように処理がなされるのでしょうかね?

YouTubeヘルプを見てみました。
https://support.google.com/youtube/topic/2676339?hl=ja&ref_topic=6151248
(記載事項多すぎ)

拾い読みしてポイントになりそうな部分を列挙しました(以下1~4)。

1.著作者やその代理人からコンテンツの削除通知があると法律に従って削除される
   
→ただ、「通知する前に、フェアユース、フェアディーリング、または同様の例外措置が該当しないか確認してください。こうした通知は、著作権者本人、またはその正式な代理人から送信する必要があります」という説明があります。著作物がフェアユースと言われる使われ方に該当するかどうかは、大企業ならまだしもそれ以外の著作者や動画の作り手が判断するのは難しいのではないでしょうかね。パロディはフェアユースだと認められる場合もある、と別の説明もあります。こうしたことが著作権法的には微妙は動画が数多く生き延びている要因かもしれません。
https://support.google.com/youtube/answer/2807622?hl=ja

2.著作権侵害の警告は1回受けても、初回は事前警告として取り扱われる

→事前警告というのが具体的にどのような意味ことなのか説明がありませんが、「警告を複数回受けると収益化に影響を及ぼすおそれがあります」という説明があることから、1回目の警告では収益に影響はないということでしょう。警告を解除するためには、①コピーライトスクールの受講を完了し、90日の期限が切れるまで待つ、②著作権侵害を申し立てた人に撤回してもらう、③異議申し立て通知を提出、のいすれかの方法による必要があります。なお「警告」というのは動画が削除されたことを意味する、と説明されていますが、一方で「警告を受けた動画を削除しても、警告は解除されません」という説明もあります。一体、警告時点で動画は削除されているのか、いないのか、どっち?
https://support.google.com/youtube/answer/2814000?hl=ja&ref_topic=9282678

3.著作権侵害の警告3回でアウト

→関連チャンネル全て停止、アップロード動画削除、新チャンネル作成不可となります。ただし、警告3回後、チャンネル無効となるまでの猶予期間(7日間)に対処して無効化を回避する救済あり。

4.著作権侵害には該当しないと異議申し立てて、削除された動画を復元するよう要請できる(誤認や取り違えにより削除された場合に限る)

→上記1に記載したフェアユースに該当するような場合の措置。異議申し立ての通知は動画を最初にアップロードしたユーザー又はその正式な代理人(弁護士など)が行う必要があります。最終的に認められればチャンネルが無効になることはありません。
https://support.google.com/youtube/answer/2807684?hl=ja

その他、YouTube が著作権の所有について判断を下すことはありません。権利の所有を裁判で争うなら当事者だけでやって、というスタンスです。

また、「Content ID 」という著作権管理ツールで管理された著作物に関しては、アップされた動画をスキャンして一致するものを特定する仕組みが導入されていますが、上記などから判断して、YouTubeのスタッフが自発的に動画をチェックして「これは著作権侵害だ」などと判断するものではないように思います。だから何だというわけではありませんが。

以上

 

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【ユーチューブと知財(2)】著作権侵害にご注意

2019.10.29

動画を作って公開するまでのどのプロセスで著作権侵害が発生するか簡単に整理します。

動画公開までのプロセスはざっくりと、

1.動画撮影

   

2.撮影した動画の加工、編集

3.加工、編集した動画をアップロード

4.公開

という感じだと思います。

上記1
→この段階では個人的な撮影、被写体に著作権があったとしても私的使用のための複製”ということで著作権侵害にはなりません(著作権法第30条:下記記載)。

上記2
→上記1と同様の行為だと考えると著作権侵害にはなりません。

上記3
法的に問題になるのがここから。著作権法では著作物をインターネット等のサーバにアップロードする場合、著作者の許諾が必要になります(実際の送信の有無は関係ない)(著作権法第2条9の5、第23条:下記記載)。

世界中の人が視聴するユーチューブに動画をアップロードする行為は、私的、とは言えません。

なので、動画をアップロードする前に十分に確認することが大事、ということになりますね。

ただし、何が著作物かという判断が、普通の人には難しいという別の問題があります。

以上

 

以下参考<著作権法の上記該当箇所>

(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするとき、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
(以下、省略)
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
(公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。(以下、省略)

 

 

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【ユーチューブと知財】

2019.10.27

ユーチューブは見る側ですが、登録チャンネルが突然閉鎖されるケース等、気になることも多いです。

閉鎖の原因はマチマチでしょうが、私としては著作権侵害の問題がまず頭に浮かんできます。

連載漫画のネタバレなんかは多くの人が著作権侵害を連想できると思います。

昔懐かしアニメの映像やOP、ED集はどうでしょうか?

ゲームプレイの実況なんかもよく目にします。

その他、最近では映画や連載漫画について、一場面の画像を交えて批評的な感じにしたもの(著作権法で認められる引用の範囲内だ、みたいな雰囲気のもの)も多くなりました。

ユーチューブで著作権が問題になるのはどこからか?

厳密には、ほとんど違法じゃない?という感じの動画が多いのですが、現実的には許容(管理者の目が届かないだけ?)されているものも多いと感じます。

気になる点なので情報発信のネタにしていこうと思います。

 

 

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特許を取るには何かが足りないパターン

2019.07.17

 スタートアップ企業出願経験のない/少ない企業によくある話です。

 「この商品の特許を取りたい

という相談を受ける場合に、特許を取るにはもう一つというよくあるパターンを紹介します。

1.単に思いつきのもの

 閃いたアイデアのまま特許を取りたいというもの。

 〇〇という商品が閃いた、とか、△△というビジネスモデルで商売を始めたい、など。

 こちらとしても早い段階からいろいろとアドバイスができるので、この段階での相談というのはある意味理想的なタイミングだと言えます。

 ただ、アイデアレベルのままでは特許を取れる可能性は小さいです。

 毎年何十万件という特許出願がなされていて、その中には自分が考えたアイデアと似たようなものがあるかもしれません。

 昔、メーカー勤務時代に同期が「電気自動車の時代が来たら無音走行になって危ないから、歩行者のためにあえて音を発生する装置を作れば売れる。俺が出願するまで他言するな」と言っていたことがあります。ですが、実際にそのアイデアはすでに数年前に大手自動車メーカーから特許出願されていました。

 

 このような競合発明は特許化の障害になります。

 似たようなアイデアは同じようなタイミングであちこちで着想を得ている人が存在するみたいです。

 このような場合、どうすれば良いか?

 公知のアイデア、類似するアイデアよりも技術的に優れた点を見出して、裏づけをとる(開発を進めていく)ことが必要になります。

 上の自動車の音発生装置の例だと、単に注意喚起音を発生するというだけのものでは出願の順番に関係なく特許化は難しいと思われます。

 音を出して歩行者に気づかせる装置としては車のクラクション自転車のベルが存在します。こうした音を電子化して通常走行時に発生することは技術的に困難なものではありません。ビジネス的に新規ではあっても転用容易であったり、こうした転用を容易に考えつくことができるものには特許は与えられないのです。

 

 この場合、発生音が小さくても歩行者の注意を引きつける音の質になっている、とか、事故につながりそうなシチュエーションであるかどうかをセンサーが識別して危ない場合だけ音を出す、などの技術的に独自の工夫が施されていれば(かつ、技術的に優れていれば)、特許になる可能性が高まります。

 こうしたことは試作してみてある程度、技術的な裏づけをとる必要があります。

 特に化学的要素が絡んでくる発明においては必須と言えます(その効果を実験結果で示すしかないから)。

 

2.有用なデータが取られていないもの

 試作品までできているが権利化を主張するのに有用なデータがないもの。

 産学連携の商品開発に関わることがありますが、産学連携においてもこれをよく感じます。

 まあ、大学は特許を取るために研究しているのではないのである程度仕方のないことかもしれません。

 よくあるのが、“効果あり”、というだけの実験で終わっているパターンです。その、効果、が特許化に必要な効果としては不十分なことがあります。

 例えば、プロテインなどのサプリメント商品を例に挙げると、“被験者の筋肉が向上した”、という実験結果で終わっている場合がこれに該当します。

 →→→→→

 その商品に一定の効果があることを示すのであれば、こうした実証データ競合他社品との比較データだけで十分かもしれません。

 ユーザーの興味を引きつける実証データは重要な情報です。ただし、収集データ数が少ない場合焦点がズレている場合、仮に特許を取れたとしても非常に狭い権利範囲になってしまいます。

 また、競合商品が多数存在する場合、単に成分配合率を変えた、などは研究開発において当たり前の話だといえます。そうすると、“新たな配合比を見出した”と感じるものであっても(特許庁の審査官は当業者が容易に考えつくものと判断し)特許にはなりません。

 成分の配合率に真の工夫があるのであれば、〇〇成分が下限△△%~上限▽▽%の場合に非常に高い効果を示す、というように臨界が見極められた情報収集をする必要があります。

<少ないデータに基づいて権利化した場合>
 例えば、成分A、B、C、Dが40%、30%、20%、10%の場合に効果あり、という限られたデータに基づいて、その場合の配合比率で特許が取れたとします。
 
 そうすると、この比率については確かに自社独占ですが、効能にほとんど影響のない成分を混ぜるなど配合を変えた模倣品には権利が及びません。

 また、上例の商品は体づくりに役立つという実証データはプロモーション的に重要でしょうが、特許的には(競合多数、配合率は研究されつくしている場合には)別の技術要素にフォーカスした方が良い場合もあるかもしれません。

 例えば、いくら摂取しても飽きない特殊な甘味料が含まれている、とか、製造方法に特徴があって非常に安価に製造できる、といった点に技術的特徴を見出すことができるかもしれません。

 そうであれば、(筋肉が発達した、という実証データだけでなく)そうした技術的特徴を裏付けるデータ収集を行うことが必須になります。

 

 以上、よくある2パターンを紹介しました。

 

 特許化のためには、結局はどこに自社の技術的独自性を見出していくかということがポイントになります。

 そのためには上記1、2で触れた知財の視点を取り入れた商品開発が必須です。

 なかなか簡単なことではないとは思いますが。

 

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