ブログで広告収入を得ている人(稼いでいる人)にとっては広告停止が一番の恐怖かもしれません(?)。
先日、アフィリエイト(グーグルアドセンス)をやっている友人から、1回でも自分のブログの広告をクリックしたらアウト、だと聞いて驚きました。
禁止事項のうちアダルト系や武器系コンテンツがダメなのは当然として酒やたばこもNGとはかなり厳格ですよね(初めて知りました)。
そんな中で著作権侵害関係では以下のような文言が記されています。
Google のポリシーとして、デジタル ミレニアム著作権法(DMCA)に準拠した侵害の報告があれば対処いたします。AdSense のサイト運営者様についても、そのような報告を受けたり、サイトが著作権を侵害していると考えられる理由がある場合、プログラムへの参加を停止させていただくことがあります。 出典:AdSense コンテンツポリシー著作権侵害https://support.google.com/adsense/answer/9892?hl=ja&ref_topic=1271507 |
何か著作権侵害が例示されているのか探しましたが、これといったものは見つからず。
Q マンガの一コマを掲載するのはセーフ?
Q ディズニーランドで個人的に撮った写真はアウト?
など一般の人には判断不可能ではないでしょうか?(正直、専門家でもズバッと回答するのは難しいと思います)
このように著作権の問題は白黒つけるのが難しい分野です。
一口に“著作権”と言っても、著作権法には様々な権利が規定されています(下イメージ図)。
この中でブロガーが最も意識しなければならないのが“公衆送信権”だと言えるかもしれません。
(著作権法条文:公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
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“公衆送信権”とは「無断で公衆に送信されない権利」です。
閲覧者がブログにアクセスすると、そのブログの“文章”や“写真”や“絵”や“音楽”などの著作物が閲覧者に送信されます。
こうした“文章”や“写真”や“絵”や“音楽”などの著作物が他人のものである場合、その他人の公衆送信権を侵害するということになるのです。
また、著作権法における“公衆”とは不特定多数はもちろん、不特定少数、特定多数も意味すると考えられています(著作権法2条5項)。
特定 | 不特定 | |
少数 | × | 〇 |
多数 | 〇 | 〇 |
(著作権法の条文:定義)
第二条
5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。 |
従ってブログでアフィリエイトをやっている人は漏れなく公衆送信権の問題がついてまわるということになります。
どのような場合に他人の著作物を利用できるのでしょうか?
(まずは著作物性があるかどうかを一番最初に判断すべきですが、その判断は難しいためここでは著作物であることを前提に進めます)
1.著作権が切れている場合
著作物は著作者の死後50年でなくなります(映画は公表後70年間)。
従って平安時代や江戸時代に作られた物語の著作権は消滅しています。
2.権利者から許諾(や著作物を譲渡)してもらった場合、著作権が放棄されている場合
例えば利用規約に「誰でも利用可能」と定められている場合が挙げられます。
3.引用などの例外規定に該当する場合
いかなる場合も著作権者の許諾を得なければならないとすると不都合が多すぎるので、著作権法ではいくつかの例外規定を設けています。
例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する“引用”が挙げられます(引用は、それが適法な引用であるのなら、どのような場合でも許されます)。
ざっくりと以上の場合において他人の著作物を利用することができます。
ただ、これだけでは悩みは消えないと思います。
例えば上記2については、「非商用のみ可」となっていたらアフィリエイトはどっちになるのか、という疑問があります。
結局、権利者にとって非商法をどこまでと考えているのかによるのでしょう(答えを知るのは権利者のみ)。
また、適法な引用とはどんな引用だよ、という疑問もあるでしょう。
文化庁や判例によって引用の判断基準が示されていますが(過去記事「ブログと知財の留意点」参照)、一般の人にはわかりづらいかもしれません。
今後、適当にブログと著作権の問題を取り上げていこうと思います。