コピー動画などの偽チャンネルが出現したという話はよく聞きます。
オリジナルの製作者にとっては大きな問題だと思います。
こうした問題に対して、ユーチューブヘルプのなりすましに関するポリシーには
「他人や他のチャンネルになりすますことを目的としたコンテンツは、YouTube で許可されていません」
とあります。
不適切な動画が報告され、ガイドラインに違反していると認められると動画が削除されます。
この他に、「YouTube では商標所有者の権利の保護も行っています」という一文があります。
そこで、商標権所有者様向けヘルプに飛ぶと
「Google は商標権侵害を深刻な問題と考えており、商標権所有者様への配慮として、商標権所有者様または正式な代理人の方から商標権侵害の有効な申し立てを受けた場合は調査を行う体制を設けております」
という記載があります。
すなわち、適切に商標権を取得しておけば、模倣者に対する有用ななりすまし対策になる可能性があります。
著作権と商標権の簡単な違いを整理しました(下表)。
著作権 | 商標権 | |
発生条件 | 動画など著作物を自ら作成 (手続無で自動的に発生:費用ゼロ) |
特許庁の審査を通過 (申請が必要で取得費用がかかる) |
権利侵害の主張 | 自動発生する権利ゆえの困難性がある (自分が作った著作物であることをどうやって証明するかという問題がある) |
容易 (特許庁のお墨付き) |
それぞれ一長一短があります。
ただ、自己の権利を主張するための確固たる根拠になり得る点において商標権は有用だと考えられます。
また、著作権は自動発生するものなので、商標権を持っている場合は相手方に著作権と商標権の二刀流で対抗できることになります。
ただし、商標権を取得するには自分が使用する商品やサービスを具体的に指定し、その指定した商品やサービスが属する区分(特許庁が便宜的に決めた商品・サービスの枠組み)を単位として申請する必要があります(自分にあった取り方をする必要があります)。これを間違うと意味のない権利になりかねません。ただ、ユーチューブにおける商標所有者の権利の保護というのが商標法と同じく、指定商品等と非類似の商品・サービスには及ばないのか、それとも指定する商品・サービスが何であるのか関係なく保護してくれるのかは不明です。
なお、商標権取得のための費用は、特許庁に支払う法定費用と代理人費用の2つがあります(これらの合計が商標登録に必要な費用)。
<法定費用>
出願時:3,400円+(区分数×8,600円)
登録時:区分数×28,200円
<代理人費用>
依頼する代理人によります。
同業者の話を聞くと1区分だと5万円前後の価格設定をしている事務所が多いよう。これに加えて権利化した後に成功報酬を取る事務所も有。
類似する登録商標が存在しないなど拒絶理由が見つからなければ登録査定となります。
権利の存続期間は10年で、更新可能です。