先日、クラウドファンディング実行者を顧客に持つ弁理士から聞いた話です。
クラウドファンディングを活用して逆に運転資金にやりくりに苦労したということでした。
クラウドファンディングの欠点云々というより、クラウドファンディング活用の際の留意事項として見ていただければと思います。
モノづくりプロジェクトを想定してください。
例えば、量産化のための費用(例えば金型費)をクラウドファンディングで集め、資金提供者には完成品をリターン品として送る、というプロジェクトです。
この場合のフローイメージは下図の通りです。
プロジェクトを公開して資金提供者を募集し、お金が集まったら早速量産化体制に向けて活動開始です(実行者は上図赤線の間で量産化し、リターンせねばなりません)。
ここで集まった資金が実行者の口座に(CF運営事業者を介して)振り込まれるまでにタイムラグが発生します。
ここが落とし穴になり得ます。
資金の振込み日がプロジェクト終了日に属する月の翌々月、という決まりになっていたら、入金までにヘタすると2カ月待たされることになります。
リターン品の遅延は炎上の原因になりかねませんので、それまでの間、ボーッとしているわけにはいきません。
上記の件では、約束の日に間に合わせるために金融機関からお金を借りるはめになったらしいのですが、何とも変な気持ちになります。
ではどうすればいいのか?ですが、
リターン品の届出日を余裕をもって設定する、ということだと思います。
ただ、入金まで指をくわえてボーッとしていなければならないという点で根本的な対策になっているとは言い難いです。
作ったモノをできるだけ早く事業化し、模倣者にキャッチアップされる前に世間に浸透させることも重要ですから。
話は変わりますが、最近では、公開中のプロジェクトに「特許出願中」とか「登録商標」というコメントを記載しているものを見かけるようになりました。
上記のような足踏み時の知財対策の一つになり得るでしょう。