前回、文章の問題について取り上げました。
<過去記事> ・ブログと著作権(その1) ・ブログと著作権(その2):漫画の引用 ・ブログと著作権(その3):写真の引用 ・ブログと著作権(その4):自撮り写真 ・ブログと著作権(その5):文章の問題 |
今回は音楽について取り上げます。
創作物である音楽は著作物であり、音楽を作った瞬間にその人に著作権が発生します。
そして著作権者に無断で音楽を利用すると著作権侵害になります。
音楽は“作詞”、“作曲”とある通り、メロディーだけでなく歌詞にも著作権が発生しています。
従ってブログにメロディーを用いなくても歌詞を無断で用いていたら著作権侵害になり得ます。
音楽に関しては、パロディの問題や似ている似ていないの問題など、いろいろと紛争が多いですよね。
・「森のくまさん」訳詞者、替え歌CDの販売中止を要請 (2017年1月17日 日本経済新聞) http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18H9Z_Y7A110C1CR8000/ ・松本零士さんに賠償命令 名誉棄損、槇原敬之さん勝訴 (2008年12月26日 朝日新聞) http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY200812260302.html |
ただし、これまでの記事でも触れた通り、以下の場合は著作権侵害になりません。
1.著作権が切れている場合 2.権利者から許諾(や著作物を譲渡)してもらった場合、著作権が放棄されている場合 3.引用などの例外規定に該当する場合 |
音楽の場合(音楽には限りませんが)、著作権を管理する団体があり、その中でも日本音楽著作権協会(JASRAC)が有名です。
<音楽著作権管理事業を手掛ける主な団体・企業> http://www.nmrc.jp/hikaku4.html (ネットワーク音楽著作権連絡協議会) |
JASRAC管理楽曲との関係で上記要件に留意する必要があります。
JASRACホームページのQ&Aにも記載がありますが、
・保護期間が経過して著作権が消滅した作品
・著作権法第30条~第50条の「著作権の制限」に該当する場合
はJASRACの手続きは不要とあります。上枠の1と3を意識したものです。
(JASRAC:https://secure.okbiz.okwave.jp/faq-jasrac/faq/show/60?category_id=11&site_domain=jp)
著作物の存続期間について
著作権の存続期間は著作物を創作した時にはじまり、著作者の死後50年を経過するまでの間、存続します。
(著作権法条文:保護期間の原則)
第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。
|
従って著作者が死亡して50年経過した音楽は誰の許可もとらずにブログに載せることができます。
ただし、二次的著作物(海外の歌を翻訳したもの、編曲したもの、替え歌など既に存在した著作物から作り出した新たな著作物)に係る著作権の存続期間は二次的著作物の創作者の死後50年(元々存在した著作物の著作者の死後50年でない)ですので注意が必要です。
例えば、“大きな古時計”はアメリカの作曲家であるヘンリー・クレイ・ワーク(1832年 – 1884年)がとっくに亡くなっているので原作品の著作権は消失しています。 一方、この歌の日本語版はドカベンやガッチャマンⅡなどの作詞で知られる保富康午(1930年-1984年)によって作られたものです。 つまり、日本語版については二次的著作物創作者の死後50年経過していませんので著作権は存続しています。 |
引用などの例外規定について
著作権法は“引用”など一定の行為については著作権の効力が制限されることを規定しています。
あらゆる行為に著作権の効力が及ぶとするといろいろと不都合が生じるからです。
例えば、個人的、家庭的その他これに準ずる限られた範囲内の使用目的であれば著作物を複製できます(下枠)。
(著作権法条文:私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
|
ただし、ブログ掲載目的は不特定多数の閲覧者がいることを考えると、“個人的”、“家庭的”、“準ずる限られた範囲”だとも言えません。
また、“引用”の場合も著作権の効力は及びません。
引用とは
「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のこと(文化庁:著作権なるほど質問箱より抜粋)
というものです。
著作権法では
(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
|
と(条文に従っているのであれば)例外なく引用を認めています。
ブログに音楽の著作物を用いるケースとして例えば、
・ブログの雰囲気づくりのためにメロディーを流す
・批評などのためにメロディーや歌詞の一部を掲載する
ことが考えられます。
条文を鑑みると引用が認められるのは後者だとわかると思います。
そして引用が認められるためには、判例によって導き出される以下の判断基準を満たしている必要があります。
[1] 主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2] 明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3] 必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性 |
例えば、ある歌の歌詞をブログに載せる場合、
・その歌詞の一部を持ってきて
(ブログ本体の記事が“主”で歌詞は“従”)
・その歌詞をカギ括弧などで括る
(明確に区分)
・批評のためには対象となる歌詞が必要
(引用の必然性)
ということであれば上枠の要件を満たします。
加えて、引用の出所を明示すること(下枠)、引用物を加工しないこと(例えば替え歌にしない)が求められます。
<出所の明示について> “それぞれのケースに応じて合理的と認められる方法・程度によって行われなければいけないとされていますが、引用部分を明確化するとともに、引用した著作物の題名、著作者名などが読者・視聴者等が容易に分かるようにする必要があると思われます。” 著作権なるほど質問箱(文化庁)から抜粋 http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000305 |
一方、
・ブログに歌詞を全部載せて紹介する
・ブログの雰囲気づくりのためにメロディーを流す
などの場合は引用の要件は満たさないでしょう。
JASRACの手続きについて
JASRACのサイトを見ると「インターネット上での音楽利用」について
まず音楽利用手続きが“商用配信”か“非商用配信”かで区別されています。
アフィリエイトは商用配信か、非商用配信か?
JASRACは「バナー広告やアフィリエイト広告等により収入を伴うWebサイトで音楽を配信する」としています。
アフィリエイトをやっている場合は商用配信とみなされます。
手続きや料金については下記リンク先から確認してください。
http://www.jasrac.or.jp/info/network/business/index.html
(JASRAC)
試しに使用料診断を以下の条件でやってみました。
配信者:個人 サイト収入の有無:情報料なし、広告料等収入あり 配信形式:ストリーム 利用内容:歌詞、楽譜の掲載、配信 |
使用料は、
・広告料収入の3.5%(最低使用料月額5,000円)
でした。