クラウドファンディングとはクラウド(crowd:群衆)とファンディング(funding:資金調達)からなる造語です。
簡単に言うと、モノ作りや店舗展開などに必要な資金をインターネットを介して調達する仕組みです。
起案するプロジェクトは世界一周したい、本を出版したいなどの個人的なプロジェクト、被災地の応援やがん撲滅といった社会貢献的なプロジェクト、新商品開発や店舗を開業したいというビジネス的なプロジェクトなど多岐にわたります。
様々な事業者が運営するプラットフォーム上でこうしたプロジェクトが公開されています。
実際にどのようなプロジェクトがあるのか一例を紹介します。
■モノ作り系プロジェクト
約1億円を調達したプロジェクトです。2017年4月25日時点で国内最高額ではないでしょうか。
■コンテンツ系プロジェクト
クラウドファンディングで映画化資金を調達したことで有名です。
■店舗開業系プロジェクト
会員制焼肉屋を各所に店舗開業しています。
こうした様々なプロジェクトが様々なクラウドファンディング運営事業者のプラットフォーム上で公開されています。
クラウドファンディングはざっくりと3つのタイプに分けられます。
1.寄付型
例えば、発展途上国への寄付、動物保護、被災地支援など社会貢献的なプロジェクトが多いです。
「寄付」とは資金提供者の立場から見た言葉です。その名の通り見返りを期待しない資金提供だと言えます。寄付行為をインターネットでやるイメージです。
資金提供者の側から見ると、使途が明確である点がメリットの一つだと言われています。
ジャパンギビングがあります。
2.金融型
例えば、メガソーラーファンドへの出資など資金提供者が金銭リターンを期待するプロジェクトだと言えます。
このタイプはさらに貸付型、ファンド型、株式型に細分化されます。
AQUSH(アクシュ)があります。
3.購入型
例えば、手のひらサイズのドローンを作りたい、日本酒に特化したバーを作りたい、といったモノづくり、店舗開業などのビジネス系プロジェクトが主です。
「購入」とは資金提供者の立場から見た言葉です。
先に挙げた3つのプロジェクトはいずれも購入型です(いずれもMakuakeで公開されたプロジェクト)。
資金提供者は提供した額に見合ったリターンを求めます。集めた資金で作った商品やサービスをリターンにする場合が多く、ネットショッピングに近い性質だと言えます。知財について最も注意を要するタイプだと言えます。
様々な事業者が購入型プラットフォームを運営しています(大手:後述)。
ビジネス目的でクラウドファンディングを利用するのであれば基本的に購入型が適当かと思います。
リターン(資金提供の見返り)を用意しなくてよい寄付型が良さそうに見えますが、ビジネスを目的としたプロジェクトに対して寄付しようという資金提供者の共感が得られるのかという問題があります。
被災地支援などの社会貢献的なプロジェクトであればそれに共感してくれる人は多いと思いますが、一企業、一個人のビジネス目的のプロジェクトを同じように考えるのは少し無理がありそうです。
仮に寄付による資金が集まったとしてもそれは消費者目線のお金ではありませんので、そのことで市場性を判断する材料にもなりません(市場性がないのに寄付金が集まったばかりに「これはいける」と誤った判断してしまうリスクもあるかもしれません)。
ビジネス目的でクラウドファンディングを利用するメリットとして次の3つが挙げられます。
(1)資金調達
これは言葉の通りです。
(2)テストマーケティング
起案したプロジェクトに資金提供者が多くあらわれた場合、市場で受け入れられる可能性が大きいと考えることができます。
(3)ファンづくり(口コミ効果)
クラウドファンディングプラットフォーム上で公開すること自体がプロモーションの一つであると考えることができます。
上述の「この世界の片隅に」製作プロジェクトはまさに映画集客に大きく寄与したと言われています。その他の大成功したプロジェクトに関しても同じことが言えそうです。
クラウドファンディングの本来の目的は上記1の資金調達なのですが、上記(2)や(3)を重視する企業も多いです。また、クラウドンファンディングで一定の資金が集まったプロジェクトに融資を行うという金融機関の取組みもでてきました。
クラウドファンディングの市場規模は右肩上がりで推移していいます。
大手プラットフォームとしてはCAMPFIRE、Makuake、READYFOR(アルファベット順)が挙げられます。いずれも購入型を扱っています。
ここまでクラウドファンディングについて説明しましたが、いろいろと留意すべき点もあります(別記事にて)。