街中を歩いていると、ドラゴンボールやワンピースに出てくるキャラクターの絵が描かれた立て看板を見ることがあります。歩行者の注意を引くわけですから、それを見た人の中の1%でもより多く店舗に誘導できるのであれば狙い通りといったところでしょうか。
また、アンパンマンの顔の形をしたパンが販売されているなんて話はザラですね。おそらく子供達には大人気なのでしょうね。
このように有名キャラクター(具体的なデザイン)を拝借したときにどのような問題があるのでしょうか?
上記のように有名キャラクターを拝借することは昔からありましたが、最近は時代の流れなのか、著作権的に大丈夫なのか心配、という声を事業者からよく聞くようになりました。
例えば、
・上記のようにキャラクターをあしらったパンを製造販売する場合は大丈夫なのか?
・キャラクターの原作者が著作権に寛容って聞いたので多分大丈夫だと思うのだけれど・・・
・キャラクターを使った商品は単なる客寄せで商品数は多くないから問題ない?
・お客さんが指定するキャラクターをオーダーメイド商品で作っているだけだから、こちらには何の責任もないってことでよいのか?
などなど
著作権法に照らし、最小限の範囲で見てみます。
著作権法に、
(複製権) 第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。 |
とあります。
単に、印刷とか写真だけでなく、有形的に再製する行為は「複製」です。つまり、著作者の許可なく複製することはできません。
店の立て看板に超サイヤ人の絵を描くことも、パン生地が焼きあがりアンパンマンになっていることも「複製」です(ここでは拝借するキャラクターデザインは著作物である前提で進めます)。
であれば、著作者の許可なく複製することはできません。
ただ、いくつか例外があります。
<著作権が切れている場合>
著作者の死後70年が経過している場合です(下記)。
(保護期間の原則) 第51条 (第1項省略) 2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。 |
ただ、キャラクターとしてパワーを持つものはほとんどがこの条件に当てはまらないと思います。作者が亡くなっているドラえもんにしてもアンパンマンにしても大分待たなくてはなりません。
<著作者が自由利用を認めている場合>
自由に使っていいよ、という著作者の許可がある場合です。
アンパンマンが著作権フリーだという声をよく耳にしますが、アンパンマンのポータルサイトを覗いてみたところ、
「・・・許諾を得ずに・・・複製・・・をすることは禁じられています」(下記URL)
http://www.anpanman.jp/etc/user.html
とありました。
<個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的としている場合>
友達2~3人とか家族内で楽しむ場合です。
(私的使用のための複製) 第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。 (以下、省略) |
ここでよくあるのが、オーダーメイド品(お客さんが指定したキャラクターデザイン通りにパンを焼き上げる、など)ならそのお客さんが自分のためとするものでから良いのでは?という勘違い。
例えば、自分自身でアンパンマンの形をしたパンを焼くのは「個人的に又は家庭内」と言えるでしょうが、ビジネスとしてお客さんのためにキャラクターデザインを複製するのはこれに当てはまらなくなります。
ということで、有名キャラクターをタダでビジネス活用できるといううまい話しはなかなかないですね。
<ご参考>
著作物を利用する場合の手順について文化庁がHP上に公開されています。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/riyohoho.html