ノウハウと特許出願について

2017.12.04

 少し前の話ですが、お客さんからノウハウ技術について特許出願すべきか、すべきでないのか、ということを相談されました。

 “ノウハウ”というと、大企業で言えば、コカ・コーラの製法が有名ですし、国内中小企業ではメッキ処理の分野が挙げられそうです。

 こうした、ちょっとやそっとではマネできないもの(ノウハウ)は“営業秘密”として秘密管理するのが一般的です。

 理由としては、

A-1.特許出願すると一定期間後に一般公開され(出願から1.5年後に特許情報プラットフォームにて公開)、誰もがその情報を見ることができる(もっと言うとこそっと模倣できる)

A-2.模倣行為を阻止するのは困難(例えば、上記コーラを作っている現場に乗り込んで証拠を押さえるのは現実的に不可能)

A-3.特許は出願から20年で消滅してしまう(その後は誰もが自由に利用できる)

といったことが挙げられます。

 こうして見ると、特許出願しない方が良さそうに感じますが、総合的に判断する必要があります。

 特許出願をすることによるリスクは上記の通りですが、特許出願をしないことによるリスクもあります。

 例えば、

B-1.他人の技術レベルが自分と同等か近いものであり、かつ、その他人がノウハウ的な技術についてどんどん特許出願してくる

B-2.他人の出願が特許化され、自社が研究開発した内容を事業化できなくなる

B-3.事業化するのに権利者にライセンスフィーを支払わなければならない

 ということが挙げられます。

 その特許出願よりも前に事業化(あるいは事業化の準備)をしていた場合はその範囲内で“先使用権”(特許法79条)という権利が認められますが、それを超える範囲については制限されてしまいます。

 ライバルが特許という武器を量産する場合、対抗措置が必要になってくるという感じですね(例えがいいのかわかりませんが、現実世界の核武装のような感じ?)。

 上記リスクA(A-1~A-3)の模倣されるリスクとリスクB(B-1~B-3)の自分の事業が制限されるリスクの2つの視点で判断すると、

 模倣されるリスク>自分の事業が制限されるリスク

であれば特許出願しない。

 模倣されるリスク<自分の事業が制限されるリスク

であれば特許出願する。

と考えることもできます。

 また、ノウハウ技術をバカ正直に特許出願せず、ノウハウ部分を隠しつつ、自社の事業実施に(外形的に)必要な技術要素だけ先に特許出願しておけば、(それが特許権にならなくても)少なくとも自社事業の実施はできるでしょう。

 

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