ブログと著作権(その8):パロディ

2017.06.16

前回、企業名や商品名について取り上げました。

<過去記事>
ブログと著作権(その1)
ブログと著作権(その2):漫画の引用
ブログと著作権(その3):写真の引用
ブログと著作権(その4):自撮り写真
ブログと著作権(その5):文章の問題
ブログと著作権(その6):音楽とJASRAC
ブログと著作権(その7):企業名や商品名

 今回はパロディについて取り上げます。

 世の中にはパロディと言われるものがあふれています。

 パロディとは何?と言われると難しいものがありますが、風刺や批判目的の模倣品といったところでしょうか。

<最近話題になったパロディ>
・フランク三浦の勝訴確定 「フランク・ミュラー」と訴訟
(2017年3月6日 日本経済新聞)
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06HAF_W7A300C1CR8000/

・パーマ大佐の「森のくまさん」パロディー曲 作詞家が著作権侵害を主張、販売差し止め求める
(2017年1月18日 産経WEST)
 http://www.sankei.com/west/news/170118/wst1701180062-n1.html

 その他にも「白い恋人」のパロディである「面白い恋人」は有名ですし、さらにテレビや漫画の世界はパロディーのオンパレードです。
 
 (面白い恋人:一時紛争になるもその後、和解成立)

 このように世の中はパロディだらけですので、パロディは法的にも許されているかのように勘違いしている人もいるかもしれません。

 しかし法的にパロディは認められていません

 これまで繰り返してきましたが、他人の著作物を利用できる場合は次の3つです。

1.著作権が切れている場合

2.権利者から許諾(や著作物を譲渡)してもらった場合、著作権が放棄されている場合

3.引用などの例外規定に該当する場合

 パロディに関する例外規定は存在しませんので、さっそく上枠3は除外ですね。

 著作権が切れている場合、つまり著作者がとっくに亡くなっている場合はどうかですが、著作権法には以下の規定がありますので、この場合でもパロディが許されているとまでは言えません。

(著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護)
第六十条   著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

 “著作者人格権”の中には“同一性保持権”と言われる権利があります。

 著作者は、意に反して著作物の変更など受けない権利です。

 意に反するパロディは著作者の死後も禁止されていることになります。

 漫画の世界でもこうしたパロディと権利関係の問題をよく目の当たりにします。

例えば・・・

 昔、“パーマン”という漫画がありました。
 主人公のみつおくんにパーマンセットを渡した“スーパーマン”はいつの間にか(→超人→鳥人→)“バードマン”という名称に変わっていました。
 
 (出典: 藤子・F・不二雄 パーマン1巻p11 小学館コロコロ文庫)
 最近ドラマになった“スーパーサラリーマン左江内氏”の原作も“中年スーパーマン左江内氏”でした。
  
 ネットの世界ではSS(サイドストーリー、ショートストーリー)と呼ばれる二次創作物が様々な掲示板に投稿されています。
 これらのパロディも法的には認められていません。

 そうするとパロディが許される最後の道は権利者から許諾があった場合ということになります。

 (実態がどうかは別にして)著作権法的にはパロディは不可ということです。

 一方、著作物でなければパロディは許されるのか?という疑問もあるかもしれません。

 著作物性がないものには著作権が発生しません。

 商品名とか会社名のパロディは許されるのでしょうか?

 その場合、商標法不正競争防止など別の法律の問題がでてきます。

 ブログと連動してそうしたパロディ商品を販売すると権利侵害になり得ますので注意してください。

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