知的財産権を取得するための費用は?

2017.05.15

 初めて“特許権”や“商標権”などの知的財産権を意識する人にとっての大きな関心事の一つが、いくらかかるのか?だと思います。

 費用を大きく分けると
1.特許庁に支払う手数料
2.弁理士に支払う代理人手数料
の2つあります。

 上記1はきっちりと料金が決まっていますが、上記2は特許事務所によって変動があります。
 また、特許庁から何の拒絶もなく権利が登録された場合とそうでない場合でも違ってきます。

 そのため一概にいくらです、とは言いづらいものがあります。

 既に以前の記事でざっくりとした費用について示しました(実態と大きく異なる場合があるのであくまで参考)。いずれも国内出願の場合です。

権利 権利化までの期間 費用
特許庁 弁理士※4 10年分維持まで含む合計
権利化まで 権利化後
10年分
特許権 15.2カ月 ※1 約15万円 約47万円 約55万円 約120万円
出願のみで約30万円
実用新案権 無審査登録 1.4万円 約10万円 約25万円 約40万円
意匠権 6.1カ月 ※2 1.6万円 約14万円 約16万円 約30万円
商標権 4.3カ月 ※3 約2万円 約6万円 約11万円 約20万円

※1 特許行政年次報告書2016年版1-1-25図最終処分期間(2014年平均)より
※2 特許行政年次報告書2016年版第一章P24意匠審査の現状FA期間より
※3 特許行政年次報告書2016年版第一章P31商標審査の現状FA期間より
※4 参考情報:平成18年に弁理士会が実施したアンケート結果
※その他 特許の請求項数3、実用新案の請求項数1、商標の区分数2、商標は一括納付で計算。

事例で見る各費用

 以下は以前の記事で紹介したラップフィルムケースを例に権利ごとに見ていきます。
 上表と条件が異なる部分もありますので必ずしも上表の費用を同じではありません
 
 上写真のラップフィルムケース内にはラップフィルムが入っています。サ〇ンラップの紙ケースがプラスチックケースに変わったようなものです。

 通常は刃がケース内におさまっていて、下の写真のように真ん中のスイッチのようなものを押すと刃が飛び出してきます。
 

 全て片手の操作ででき、刃が飛び出した状態に維持させ続けることもできます。写真では見えづらいですが、刃の中央部にフィルムがちょっとだけ顔をみせていて、その部分をさっとすくい取ることができます。

 例えば、料理中に片手がふさがっているとき清潔さが求められる業務でフィルムケースを手に持てないというとき、などに冷蔵や壁に設置されたこのフィルムケースなら最小限の労力と清潔を保ちつつラップフィルムを取り出せます。

 そんな商品です。

 なお、以下の弁理士費用は日本弁理士会が集計したアンケート結果の最頻値を適用しました。

1.特許権

 ラップフィルムを適度な力加減で保持する機構などの技術要素は特許になり得ます

 特許権の権利範囲は出願書類中の“特許請求の範囲”の記載によって決まります

 例えば次のような権利の取り方が考えられます(記載は超簡略化しています)。

 【請求項1】ラップフィルム保持部を備えたケース
 【請求項2】刃の収納部を備えた請求項1記載のケース

 このように請求項を10個でも100個でも増やすことができます
 ただし、請求項が増えるにしたがって料金がかさんでいきます(ここではこれを言いたかっただけです)。

 以下は請求項数5、特許庁から1度拒絶された場合の費用イメージです。

 

 上図から
出願するだけで30万円程度
出願から権利までだと70~80万円
権利化後は維持費用が段階的に上がっていく
とイメージできます。

 なお、“審査請求”というのは特許庁審査官に審査を請求するものです(出願しただけでは特許権を取得することはできないのです)。
 出願から3年以内に審査請求しないと出願を取り下げたものとみなされます。

 特許庁に支払う手数料でネックになるのが審査請求料です。
 ただし、個人事業主など一定の場合は減免制度を利用することで3分の1にまで減額することができます(参考:特許庁HPhttps://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/genmensochi.htm)。

2.実用新案権

 本商品は実用新案権を取得することも可能です。

 実用新案とは技術的なハードルが特許ほど高くなく(ママさん発明といったイメージ)、また、無審査で登録される権利です(ただし、無審査ゆえ争いが起こると無効にされるリスクが大きい心もとない権利でもあります)。

 実用新案になり得るのは「物品の形状、構造又は組合せ」です。

 従って本商品の特徴であるラップを保持する形状や構造は実用新案になり得ます。

 以下は請求項数5で出願した場合の費用イメージです。

 

 上図から
出願、登録に20~30万円
権利化後は維持費用が段階的に上がっていく
とイメージできます。

3.意匠権

 本商品はデザインについて意匠権を取得することも可能です。

 意匠権で保護されるのは物品の外観デザイン物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)です。

 従って本商品の形状などが特徴的であれば意匠権として保護され得ます。

 以下は拒絶されることなく登録された場合の費用イメージです。

 上図から
出願から登録まで13~29万円
登録後4年目から維持費用が上がる
とイメージできます。

4.商標権

 本商品は商品名やロゴマークについて商標権を取得することが可能です。

 商標権は商品(やサービス)を指定する必要があります。
 例えば本商品だと“プラスチック製包装用容器”を指定します。

 指定するのをもっと多くの商品にまで広げてもいいのですが、商品区分(便宜的に商品を区分けしたもの)数に従って料金が倍増します。

 また不使用商標は審判で取り消され得るので全く関係ない商品について商標権を取る意義は薄いです。

 以下は拒絶されることなく登録され場合の費用イメージです(指定する商品は一つ)。

 上図から
出願から10年分の登録料まで13~18万円
とイメージできます。
 ただし、商品区分が増えると料金も倍増していきます。

 以上、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の費用の目安にしてください。
 特許庁料金詳細は特許庁HPをご覧ください。
 特許庁 産業財産権関係料金一覧(2016年4月1日時点)
 

 なお、著作権を取得するのに費用は必要ありません
 著作権というのは著作物を創作した瞬間に手続き無しで自動的に発生するものですので。
 登録制度がありますが、登録の有無は権利の強さに関係ありません。
 登録費用は文化庁の「著作権に関する登録制度についてよくある質問」にあります。
 

 出願をお考えの方はまずはこちらよりお問い合わせください。

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